補助金コンサルの選び方|違法な代行と適法な支援の線引きを解説

補助金コンサルに依頼したいものの、違法な申請代行ではないかと迷う方もいます。適法かどうかを分ける軸は、官公署に提出する書類を誰が作成するかです。総務省は、個別の事業内容を前提に、資料の提供に留まる限り「作成」に当たらないと考えられると回答しています。本記事では、行政書士法での線引きと制度ごとの本人対応、不正に関わった場合の扱い、契約前の確認項目を解説します。
本記事は2026年10月時点の公開情報に基づいています。
■ 補助金コンサルは違法?行政書士法でみる線引き

適法か違法かの分かれ目は、行政書士法が定める「書類の作成」を誰が担うかです。条文の番号は、2026年10月時点で第1条の3と第19条です。
官公署に出す書類の作成は行政書士の業務である
行政書士法第1条の3は、官公署に提出する書類の作成を行政書士の業務と定めています。行政書士・行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て、業としてこの書類を作成することは、第19条第1項で禁じられています。
例外は、他の法律に別段の定めがある場合などです。第1条の3第2項も、他の法律で制限された業務を行政書士に認めていません。無償の扱いは条文に書かれていません。
令和7年改正(2026年1月1日施行)で明確になったこと
2026年1月1日施行の改正で、第19条第1項に「いかなる名目によるかを問わず」の文言が加わりました。総務省が掲載する改正法の要綱は、これを「趣旨を明確に」するものと説明しています。
「手数料」や「コンサルタント料」等の名目でも、対価を得て業として行えません(例外を除く)。違反した行為者は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で、法人の業務として行えば法人にも罰金刑です。
調査資料の提供は「作成」に当たらないとされる範囲
総務省は2025年10月10日の回答で、個別の事業内容を前提に、書類作成の基礎や参考となる資料の提供に留まる限り、書類の「作成」に当たらないと考えられると示しました。また、作成できるのは顧客か行政書士・行政書士法人に限ると案内するよう求めています。
この回答は補助金コンサル全般を適法と認めたものではなく、資料の提供を超えて書類を作成すれば前提から外れる点に注意してください。
事業承継・M&A補助金の公募要領は行政書士法に言及している
事業承継・M&A補助金(16次公募・事業承継促進枠)の公募要領は、行政書士(又は行政書士法人)でない者が申請者に代わって有償で申請の作成を行うことは、行政書士法違反に該当する可能性があると明記し、交付決定後に行政書士以外の作成が判明すれば取消となる可能性も示しています。
行政書士に委任する場合に提出するのは、行政書士証票と委任契約書等の写しです。
出典:e-Gov法令検索「行政書士法」第1条の3(業務)・第19条第1項(業務の制限)・第21条の2・第23条の3(罰則) 出典:総務省「行政書士制度」(4 行政書士又は行政書士法人でない者の業務の制限) 出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律要綱」(四 業務の制限規定の趣旨の明確化、五 両罰規定の整備) 出典:総務省「行政書士制度」掲載の産業競争力強化法第7条第2項に基づく回答(令和7年10月10日回答、5 確認の求めに対する回答の内容) 出典:事業承継・M&A補助金(16次公募)公募要領 事業承継促進枠(23ページ 12.1. 電子申請、30ページ 12.2. 申請の作成を行政書士に委任する場合)
■ 官公署への書類は行政書士、雇用関係助成金の申請書等は社労士|依頼先の違い

依頼先の法的な根拠は書類の種類で変わり、官公署に提出する書類は行政書士法、雇用関係助成金の申請書等は社会保険労務士法が定めています。
官公署への書類は行政書士、雇用関係助成金の申請書等は社会保険労務士
雇用保険法など別表第一の法令に基づく申請書等の作成と提出手続の代行は、社会保険労務士法第2条・第27条により原則として社会保険労務士の業務で、行政書士も原則として行えません(行政書士法第1条の3第2項)。
雇用関係助成金は、補助金とは異なり雇用保険法第62条・第63条に基づく助成金です。手続きは厚生労働省の共通要領が定めています。
認定経営革新等支援機関は「支援能力」を認定された機関
中小企業等経営強化法第31条第2項は、認定経営革新等支援機関の業務を、経営状況の分析と、事業計画の策定・実施に関する指導及び助言と定めています。
中小企業庁の説明では、税務・金融・企業財務の専門知識と実務経験が一定レベル以上の個人や法人などが認定の対象です。認定の有無は、検索システムで確認できます(金融機関を除く)。
認定支援機関にも改善命令・認定取消の仕組みがある
同法第35条は、主務大臣が認定支援機関の業務運営に改善が必要と認めるとき改善に必要な措置を命じられると定め、第36条は、命令への違反や不正の手段による認定などの場合に認定を取り消せると定めています。
関東経済産業局は2025年8月27日、IT導入支援事業者として行った業務に不正があった認定支援機関について、命令違反を理由に認定を取り消し、公表しました。
出典:e-Gov法令検索「社会保険労務士法」第2条第1項第1号・第1号の2、第27条、別表第一(第4号 雇用保険法) 出典:e-Gov法令検索「行政書士法」第1条の3第2項(業務) 出典:厚生労働省「雇用関係助成金支給要領(共通要領)」(第1 共通要領 冒頭、令和8年4月8日現在) 出典:e-Gov法令検索「雇用保険法」第62条・第63条 出典:e-Gov法令検索「中小企業等経営強化法」第31条第1項・第2項、第35条、第36条 出典:中小企業庁「認定経営革新等支援機関」(経営革新等支援機関認定制度の概要、認定経営革新等支援機関検索システム) 出典:関東経済産業局「経営革新等支援機関の認定取消について」(令和7年8月27日公表)
■ 申請者本人が行う部分と支援者に任せられる部分は制度ごとに異なる

事務局が定める公募要領には、申請者本人が行う部分と、支援者に任せられる部分が書かれており、その内容は制度ごとに異なります。
新事業進出・ものづくり補助金などでは、事業計画は申請者自身が作成する
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、外部支援者の助言は差し支えないとしつつ、「必ず申請者自身で作成してください」と求めており、作成自体を申請者以外が行うことは認めていません。
省力化投資補助金(一般型)も「申請者自身で作成」と定め、持続化補助金(一般型 通常枠)は事業者自らの検討が前提です。事業承継・M&A補助金は、申請の作成を行政書士に委任する手続きを別に定めています。
電子申請は申請者自身が行い、委任の可否は制度で異なる
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、電子申請システムで代理申請のための委任関係を管理する機能は提供していないと明記しています。正当な事由なく申請者自身による申請と認められなければ、不採択です。
省力化投資補助金(一般型)の電子申請システムは、交付申請に限り委任関係を管理する機能を提供しています。委任の可否は制度で異なるため、申請する制度の公募要領で確認してください。
GビズIDのID・パスワードは他人に開示・利用させない
GビズID利用規約の第11条は、ID・パスワードなどのアカウント情報を自己の責任で管理し、他人に開示したり利用させたりしてはならないと定めています。持続化補助金の事務局は、GビズIDを他者に共有して手続きを行わせる行為を「不正であり、犯罪です」と明記しています。
規約の第14条が定める合意にもとづく正規の委任は、ID・パスワードを他人に渡して手続きさせることとは別のものです。
自社が使える制度と、申請者本人が対応する範囲を事前に整理したい場合は、補助金申請支援のページをご覧ください。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版(2〜3ページ 外部支援者活用時の注意、38ページ 電子申請の注意事項) 出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)(3ページ 応募手続きの前の注意) 出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領 第8版(PDF2ページ目 注意事項:事業者自らの検討) 出典:事業承継・M&A補助金(16次公募)公募要領 事業承継促進枠(30ページ 申請の作成を行政書士に委任する場合) 出典:デジタル庁 GビズID「利用規約」第11条(GビズIDアカウントの管理義務)・第14条(委任) 出典:小規模事業者持続化補助金事務局「補助金の不正受給等の不正行為に対する処分」(不正行為について 2)
■ 補助金コンサルと契約する前に確認したい項目

契約前に確認したいのは、報酬の金額よりも条件の中身と、申請画面への記載義務です。公募要領が挙げる不適切な行為と記載義務は、そのまま契約書の確認項目として使えます。
新事業進出・ものづくり補助金の公募要領が挙げる「不適切な行為の例」
第1回の公募要領は、不適切な行為の例として次の4項目を挙げています。
- サービス内容とかい離した高額な成功報酬等の請求
- 金額や条件が不透明な契約の締結と、強引な働きかけ
- 虚偽記載の教唆、作成支援者名の不記載の要求
- 認定支援機関による支援の他者への委託・外注
省力化投資補助金(一般型)が挙げる例は5項目で、その1つが「補助金申請代行を主たるサービスとして営業活動等を行う」です。
報酬額と契約期間を申請時に記載できる契約か確認する
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、支援者がいる場合に支援内容・報酬(予定)額・契約期間の入力を求め、未入力なら不採択や取消です。省力化投資補助金(一般型)は、成功報酬なら採択時に支払う金額を記載します。
持続化補助金(一般型 通常枠)は、商工会・商工会議所を除く第三者の支援について、支援料金の有無や名目を問わず金額の記載が求められるため、申請画面へ書ける契約か確かめてください。
認定支援機関の料金体系は国が認めたものではなく、契約内容は自分で確認する
関東経済産業局は、認定支援機関による支援は有料の場合があり、国が認定しているのは認定経営革新等支援機関の支援能力であって、料金体系等を認めているわけではないと注意喚起しています。契約の内容は事前に自分で確認し、合意のうえで受けるよう求めています。
契約書では、金額の大小より次の点を確認してください。
- 成功報酬の算定基準と支払時期
- 不採択時の扱い
- 採択後の支援が別料金か
同一・類似の申請を主導した支援者が関わる申請は、受け付けられない可能性がある
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、外部支援者が故意又は重過失により他の事業者と同一又は類似した内容の申請を主導した場合、以降その支援者が関与した申請を受け付けない又は審査対象としない可能性があると注意しています。省力化投資補助金(一般型)は、同一又は酷似した内容なら次回以降の公募で受け付けられない可能性があるとしています。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版(2〜3ページ 不適切な行為の例、26ページ 同一・類似の申請を主導した支援者の扱い、38ページ 事業計画作成支援者の入力) 出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)(3〜4ページ 不適切な行為の例・支援者名と報酬額の記載、19ページ 補助対象外となる事業者の※3) 出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領 第8版(PDF2ページ目 注意事項:第三者の支援を受けた場合の記載) 出典:関東経済産業局「経営革新等支援機関について」(認定経営革新等支援機関から支援を受ける〈事業者向け〉の注意喚起)
■ 不正な申請支援に関わると申請者に何が起きるか

交付決定の取消、返還、罰則の根拠は、補助金適正化法の条文です。事務局が交付する制度では、交付規程に基づく取消・返還として書かれる例もある点に注意してください。
交付決定の取消と補助金の返還・加算金
補助金適正化法第17条は、補助事業者等が交付決定の内容や条件、法令に違反したとき、各省各庁の長が交付決定の全部または一部を取り消せると定めています。
取り消した場合、すでに交付された補助金は、第18条第1項により期限を定めて返還を命じなければなりません。第17条第1項の処分に関して返還を命じられた場合、受領日から納付日までの日数に応じて納める加算金は年10.95%です(第19条第1項)。
補助金適正化法には不正受給の罰則がある
補助金適正化法第29条第1項は、偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受けた者を、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。
持続化補助金の公募要領も、不正受給があった場合は交付決定の取消・返還命令・不正内容の公表のほか、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金があると明記しています。
デジタル化・AI導入補助金では、知らずに関与した場合の返還手続きが定められている
デジタル化・AI導入補助金の事務局が不正行為のページで案内しているのは、不正であることを知らずに不正関与した場合は【誓約書】を提出し、定められた金額を返還する手続きです。納付期限までに返還しなければ、遅延損害金が課される場合があります。
出典:e-Gov法令検索「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第17条・第18条第1項・第19条第1項・第29条第1項 出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領 第8版(PDF2ページ目 注意事項:補助金適正化法に基づく実施と不正受給時の扱い) 出典:デジタル化・AI導入補助金 事務局「不正行為にご注意ください」(補助金の返還について:不正であることを知らずに不正関与した場合)
この制度の申請支援について、対応できる内容をまとめています。
■ HelpTech株式会社について
HelpTech株式会社の本社は、福岡市中央区薬院です。当社では、認定経営革新等支援機関として、補助金の選定から事業計画策定への助言、提携する行政書士による申請書類の作成、申請者ご本人が行う申請手続きのサポート、採択後の実行支援まで対応しています。
これまでの実績は、助成金支給率98%(2021年7月の創業以来〜2026年4月時点、支給決定件数÷支給申請件数)、累計の補助金採択額60億円以上(2021年7月の創業以来の累計、当社がご支援して採択された全補助金額の合計)です。会社情報は、会社概要のページでご確認ください。
■ まとめ:官公署への書類は原則、本人か行政書士が作成。契約前に作成者と報酬条件を確認しよう
官公署に提出する書類を作成できるのは、総務省の回答によれば申請者本人か行政書士(行政書士法人)です。調査資料の提供は、個別の事業内容を前提に、資料の提供に留まる限り「作成」に当たらないとされています。
事業計画や電子申請の本人対応は制度ごとに違い、不正があれば補助金適正化法に基づき取消や返還を命じられる場合があります。契約前に、誰が書類を作成するか、報酬額と契約期間、成功報酬の条件を書面で確認してください。
制度の選び方や条件の確認から相談したい方は、HelpTechの無料相談をご利用ください(電話:092-688-0878/平日 10:00-18:00)。
この記事の執筆者

HelpTech株式会社 代表取締役
高橋 延明
中小企業の補助金・助成金申請支援と、リスキリングの研修事業を手がける。経産省のリスキリング補助事業の採択事業者。
よくある質問
支払いを補助対象外とする制度が複数あるため、制度ごとに確かめてください。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は事業計画書の作成支援者への経費を専門家経費の対象外とし、デジタル化・AI導入補助金(通常枠)は申請代行費を補助対象外としています。持続化補助金(一般型 通常枠)は、成功報酬型の費用とコンサルティング・アドバイス費用が対象外です(インボイス制度対応のための専門家への相談費用は除く)。
よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に設置した無料の経営相談所です。課題の大小を問わず、何度でも無料で相談できます。ミラサポplusの相談窓口一覧で「無料」と表示された窓口の1つが、都道府県等中小企業支援センターです。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、会社全体の事業計画の策定支援の相談先として、よろず支援拠点を挙げています。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の口頭審査には、事業計画作成支援者や経営コンサルタントは同席できません。審査には申請事業者自身が対応してください。省力化投資補助金(一般型)は、申請担当者欄に記載した役員または従業員1名に限り同席でき、支援者やコンサルタントは同席できません。口頭審査の可否と同席の条件は、応募する制度の公募要領で確かめてください。
事業承継・M&A補助金(16次公募・事業承継促進枠)は、すべての公募申請者が認定経営革新等支援機関の確認書を提出します。締切り直前は確認の依頼が間に合わない場合があるため、公募要領は余裕をもった依頼を求めています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、認定支援機関ではなく、金融機関から資金提供を受ける場合に「金融機関による確認書」が必要で、自己資金のみなら不要です。
はい。デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の通常枠は、IT導入支援事業者と中小企業・小規模事業者等が共同事業体となり、事務局へ各種申請を行います。IT導入支援事業者は、事務局に登録申請し、適格性の審査を経て採択された事業者です。