人材開発支援助成金のコース早見表|令和8年度の違いと選び方を解説

人材開発支援助成金は名前の似たコースが多く、自社がどれに当たるのか分かりにくい制度です。厚生労働省が案内する7コースのうち、1つは令和6年度に移管されました。残る6つの違いと、訓練の目的で選び分ける方法、令和8年度の期限を2026年10月時点の情報で解説します。
■ 人材開発支援助成金のコース一覧|移管済みを除く6コースの早見表

厚生労働省は人材開発支援助成金に7コースを案内しており、下の表は移管済みの障害者職業能力開発コースを除く6コースです。
| コース名 | 支援する内容 | 主な対象 | 期限の定め | 確認先 |
|---|---|---|---|---|
| 人材育成支援コース | 職務に関連する訓練の経費や賃金などを助成(4つの訓練メニュー) | 職務に関連する訓練を受けさせる事業主 | 定めなし(2026年10月時点) | 管轄の労働局 |
| 教育訓練休暇等付与コース | 有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)の導入と、休暇を取得しての訓練を助成 | 制度を新たに導入する事業主 | 定めなし(2026年10月時点) | 管轄の労働局 |
| 人への投資促進コース | 5つの訓練メニュー(高度デジタル人材訓練、定額制訓練、自発的職業能力開発訓練、長期教育訓練休暇制度など)を助成 | 訓練や休暇制度を整える事業主 | 令和8年度末(令和9年3月31日)まで | 管轄の労働局 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 事業展開、DX化・GX化、人事・人材育成計画に基づく訓練を助成 | 該当するOFF-JTを実施する事業主 | 令和8年度末(令和9年3月31日)まで | 管轄の労働局 |
| 建設労働者認定訓練コース | 建設関連の認定職業訓練・指導員訓練の経費や賃金を上乗せして助成 | 中小建設事業主 | 定めなし(2026年10月時点) | 厚生労働省の建設事業主向けページ |
| 建設労働者技能実習コース | 建設労働者の技能実習の経費や賃金を助成 | 建設事業主 | 定めなし(2026年10月時点) | 厚生労働省の建設事業主向けページ |
人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度末(令和9年3月31日)までの措置です。 長期教育訓練休暇制度と教育訓練短時間勤務等制度は、令和9年3月31日まで人への投資促進コースのメニューとして支給されます。建設労働者技能実習コースでは、能力・経験等に応じた処遇を受けるための取組に関する職業安定局長の定めに当てはまる建設労働者について、中小建設事業主の賃金助成の単価が読み替えられます。この読み替えは、令和9年3月31日までに開始する技能実習が対象です。
人材育成支援・教育訓練休暇等付与・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援の4コースは、厚生労働省の「人材開発支援助成金」のページで案内されています。建設労働者認定訓練コースと建設労働者技能実習コースは建設事業主向けの2コースで、「建設事業主等に対する助成金」のページで案内されています。申請書類の提出先は、6コースとも管轄の労働局です。
障害者職業能力開発コースは、令和6年度から独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が支給業務を行う障害者雇用納付金制度に基づく助成金へ移管しました。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」(「2.コース一覧」) 出典:e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」第125条第1項・第2項、附則第34条第1項ただし書(教育訓練休暇等付与コースと暫定措置の範囲) 出典:e-Gov法令検索「建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則」第7条の2第5項・第6項、附則第2項(建設2コースの根拠と、技能実習コースの単価読み替えの期限) 出典:厚生労働省「建設事業主等に対する助成金のご案内」令和8年度(建設労働者認定訓練コース PDF26・27ページ目「支給申請の手続き」、建設労働者技能実習コース PDF34ページ目「支給申請までの流れ」)
■ 訓練を助成する3コースの違い|人材育成支援・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援

3コースはいずれも、訓練の経費や賃金などを助成します。人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースは業務命令で受けさせる訓練が対象で、人への投資促進コースはそれに加えて、従業員が自発的に受ける訓練と、休暇・短時間勤務の制度も対象です。どのコースを使うかは、訓練メニューと対象者で決まります。
人材育成支援コース|4つの訓練メニュー
人材育成支援コースには、4つの訓練メニューがあります。 ①人材育成訓練は、職務に関連した10時間以上のOFF-JTです。②認定実習併用職業訓練では、厚生労働大臣の認定を受けた実習併用の訓練を行います。
③有期実習型訓練は、正社員経験の少ない有期契約労働者等を正社員等へ転換する訓練です。④中高年齢者実習型訓練の対象は、訓練開始日に45歳以上の被保険者となります。
人への投資促進コース|5つの訓練メニューと期間限定の位置づけ
人への投資促進コースは、令和4〜8年度の期間限定助成です。厚生労働省は、高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練、情報技術分野認定実習併用職業訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)、自発的職業能力開発訓練、長期教育訓練休暇等制度の5メニューに分けています。
長期教育訓練休暇等制度には、長期教育訓練休暇制度と教育訓練短時間勤務等制度が含まれ、令和9年3月までこのコースのメニューです。
事業展開等リスキリング支援コース|3つの対象類型
対象は10時間以上のOFF-JTで、3つの類型のいずれかに当たる訓練です。 ①事業展開に伴い新たな分野で必要な知識・技能、②企業内のDX化・GX化に関連する業務に必要な知識・技能、③企業内の人事・人材育成に関する計画に基づき今後従事する職務に必要な知識・技能が、3つの類型にあたります。③の「今後従事する職務」は、訓練開始日から3年以内に就く予定の、現在とは異なる職務に限られます。③では、定額制サービスによる訓練、管理職研修などの役職向けの訓練、認定経営革新等支援機関やその関連者が実施する訓練は対象外です。
出典:厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」(Ⅱ-1 人材育成支援コースとは、PDF15ページ目) 出典:厚生労働省「令和8年度版 人への投資促進コースのご案内(令和8年8月3日版)」(表紙リード、PDF1ページ目) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 人事・人材育成計画に基づく訓練も助成対象」(1ページ目 ※3・※4、定額制サービスの注記) 出典:厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内」詳細版(令和8年8月3日版)(PDF1ページ目、PDF29ページ目 表1)
■ 制度を整えるコースと建設向けコース、移管された障害者コース

性質が異なる3つを並べます。休暇制度の導入、建設事業主向けの上乗せ、そして移管済みの障害者職業能力開発コースです。
教育訓練休暇等付与コース|休暇制度を導入し、取得させて訓練を受けさせる
有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受けた場合に助成します。 既に有給・無給の教育訓練休暇制度(長期を含む)を導入している事業主は対象外です。
過去に教育訓練休暇制度等で助成を受けた事業主にも支給しません。
建設労働者認定訓練コースと建設労働者技能実習コース|建設事業主向けの2コース
建設労働者認定訓練コースは上乗せ型で、経費助成は都道府県からの認定訓練助成事業費補助金等の交付、賃金助成は人材育成支援コースの支給決定が要件です。賃金助成は1人につき受講日数×3,800円となります。
建設労働者技能実習コースの賃金助成は中小建設事業主が対象で、企業の被保険者数が20人以下なら受講日数×9,500円、21人以上なら受講日数×8,550円です。特定の要件を満たすと上乗せもあります。
障害者職業能力開発コース|令和6年度からJEEDの助成金へ移管
障害者職業能力開発コースは、障害者の職業に必要な能力を開発・向上させる教育訓練を継続的に行う施設の設置・運営費用を一部助成するもので、障害者の雇用促進や雇用の継続が目的です。自社の在職者研修向けの助成ではありません。 移管後の金額や申請先は、JEEDの公式ページでご確認ください。
出典:厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」(Ⅰ-1 助成メニュー表、PDF3ページ目) 出典:厚生労働省「教育訓練休暇等付与コースのご案内」詳細版(令和8年8月3日版)(共通事項Ⅰ-4 助成に係る留意事項 4・5、PDF10ページ目) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)」(経費助成・賃金助成欄) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」(経費助成・賃金助成欄) 出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」(「重要なお知らせ」「概要」) 出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者能力開発助成金」(第1種・第2種の案内)
■ コースごとの助成率・上限額の読み方|1事業所1年度の上限と1人1訓練あたりの上限は別物

助成の中身は、経費助成・賃金助成・OJT実施助成が中心で、休暇制度の制度導入・実施助成や設備投資加算などもあります。上限は「1事業所1年度」と「1人1訓練あたり」で別物です(2026年10月時点)。
助成率と助成額の見方|( )は大企業。人材育成訓練では正規等と非正規で率が異なる
| コース | 訓練メニュー | 賃金助成(1人1時間)通常/賃金要件等 | 経費助成率 通常/賃金要件等 | OJT実施助成(1人1コース)通常/賃金要件等 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人材育成支援 | 人材育成訓練(OFF-JT) | 800円(400円)/1,000円(500円) | 正規等45%(30%)・非正規70%/正規等60%(45%)・非正規85% | - | - |
| 人材育成支援 | 認定実習併用職業訓練 | OFF-JT 800円(400円)/1,000円(500円) | 45%(30%)/60%(45%) | 20万円(11万円)/25万円(14万円) | - |
| 人材育成支援 | 有期実習型訓練(正社員化した場合) | OFF-JT 800円(400円)/1,000円(500円) | 75%/100% | 10万円(9万円)/13万円(12万円) | - |
| 人材育成支援 | 中高年齢者実習型訓練 | OFF-JT 800円(400円)/1,000円(500円) | 60%(45%)/75%(60%) | 10万円(9万円)/13万円(12万円) | - |
| 教育訓練休暇等付与 | 制度導入 | - | 30万円/36万円(定額) | - | 1事業主1回限り |
| 人への投資促進(令和8年度末まで) | 高度デジタル人材訓練 | 1,000円(500円)/- | 75%(60%)/- | - | - |
| 人への投資促進 | 成長分野等人材訓練 | 1,000円(国内の大学院の場合)/- | 75%/- | - | - |
| 人への投資促進 | 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | OFF-JT 800円(400円)/1,000円(500円) | 60%(45%)/75%(60%) | 20万円(11万円)/25万円(14万円) | - |
| 人への投資促進 | 定額制訓練 | - | 60%(45%)/75%(60%) | - | - |
| 人への投資促進 | 自発的職業能力開発訓練 | - | 45%/60% | - | - |
| 人への投資促進 | 長期教育訓練休暇制度 | 1,000円(800円)(有給休暇の場合)/-(1,000円) | 20万円/24万円(定額) | - | 新規採用助成27万円・45万円・67万5千円(業務代替期間に応じて)、職務代行助成は手当の75%(月16万円上限)。いずれも中小企業のみ |
| 人への投資促進 | 教育訓練短時間勤務等制度 | - | 20万円/24万円(定額) | - | - |
| 事業展開等リスキリング支援(令和8年度末まで) | OFF-JT | 1,000円(500円)/- | 75%(60%)/- | - | 設備投資加算は導入費用の50%(中小企業のみ。賃金要件または資格等手当要件を満たす場合) |
( )内は大企業の額・率です。
人材育成訓練の経費助成率は、正規雇用労働者等が45%(30%)、非正規雇用労働者が70%と分かれます。 賃金要件等の加算は、賃金5%以上の増加、または資格等手当による賃金3%以上の増加が条件で、事後に別途申請します。加算の有無はメニューごとに異なり、事業展開等リスキリング支援コースの経費助成率は加算の対象外です。
中小企業は、次のどちらかの基準に当てはまれば該当します。
| 主たる事業 | 資本金の額または出資の総額 | または、企業全体で常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| コース | 企業規模の判定時点 |
|---|---|
| 人材育成支援コース | 支給申請時 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 支給申請時 |
上限額と受講回数の読み方|1事業所1年度の上限と、1人1訓練あたりの上限
| コース | 1事業所1年度の上限 | 1人1訓練あたりの経費助成限度額 | 受講回数 |
|---|---|---|---|
| 人材育成支援コース | 1,000万円 | 実訓練時間数 10時間以上100時間未満は15万円(大企業10万円)、100時間以上200時間未満は30万円(20万円)、200時間以上は50万円(30万円) | 1労働者の一の年度あたり支給申請3回まで。有期実習型訓練は同一事業主・同一労働者に1回まで |
| 人への投資促進コース | 2,500万円(成長分野等人材訓練を除く。自発的職業能力開発訓練は300万円まで)。成長分野等人材訓練は別枠で1,000万円 | メニューごとに異なる。高度デジタル人材訓練は100時間未満30万円(20万円)、100時間以上200時間未満40万円(25万円)、200時間以上50万円(30万円) | 高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練・定額制訓練・自発的職業能力開発訓練は1年度3回まで、情報技術分野認定実習併用職業訓練は1回まで(定額制サービスによる訓練は事業展開等リスキリング支援コースと合わせて3回まで) |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 1億円 | 10時間以上100時間未満30万円(20万円)、100時間以上200時間未満40万円(25万円)、200時間以上50万円(30万円)。eラーニング・通信制は中小15万円(大企業10万円)。定額制サービスは1人1月2万円 | 1労働者につき1年度3回まで。うち令和8年8月3日以降に提出した計画届に基づくeラーニングは1回まで |
| 教育訓練休暇等付与コース | 1事業所1年度あたりの限度額は設定なし。教育訓練休暇制度は1事業主に1度限り30万円(賃金要件等を満たす場合36万円) | - | - |
上限は、1事業所1年度あたりの上限と、受講者1人の1訓練あたりの経費助成限度額の2種類です。 年度は支給申請日を基準に、4月1日から翌年3月31日までと数えます。賃金助成の対象時間は、人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースで、1人1訓練あたり1,200時間(専門実践教育訓練は1,600時間)が上限です。
人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースのeラーニング・通信制の扱い
この2コースでは、eラーニング・通信制は経費助成のみで、賃金助成の対象外です。 人材育成支援コースでは、標準学習時間が定められているものを除き、一律で10時間以上100時間未満の区分(中小15万円、大企業10万円)が適用されます。事業展開等リスキリング支援コースは、時間数にかかわらず中小15万円・大企業10万円で、令和8年8月3日以降に提出した計画届に基づく受講は1人1年度1回までです。
出典:厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」(Ⅰ-1 助成額・助成率 PDF3ページ目、Ⅰ-7 中小企業事業主の範囲 PDF14ページ目、PDF15・16ページ目 限度額と受講回数、Ⅱ-2 PDF26ページ目) 出典:厚生労働省「令和8年度版 人への投資促進コースのご案内(令和8年8月3日版)」(限度額など、PDF7ページ目) 出典:厚生労働省「令和8年度版 人への投資促進コースのご案内(令和8年8月3日版)」詳細版(PDF8ページ目「人への投資促進コースの限度額など」受講者1人当たりの受講回数の制限) 出典:厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内」詳細版(令和8年8月3日版)(PDF11ページ目、Ⅲ-1 助成額・助成率 PDF39ページ目、Ⅲ-2 支給限度額 PDF40ページ目) 出典:厚生労働省「教育訓練休暇等付与コースのご案内」詳細版(令和8年8月3日版)(共通事項Ⅰ-3 助成額、PDF9ページ目)
■ 自社に合うコースの選び方|訓練の目的から絞り込む4つの判断

出発点は、研修を業務命令で受けさせるのか、従業員が自発的に学ぶのかです。次にOFF-JTだけかOJTも併用するかを見て、最後に対象者と内容を絞ります。
従業員に職務に関連する研修を受けさせたい場合
業務命令で職務に関連する10時間以上のOFF-JTを受けさせるなら、人材育成支援コースの人材育成訓練が該当します。 通学制と同時双方向型の通信訓練で数えるのは、対象外の時間を除いた実訓練時間数です。eラーニング・通信制は標準学習時間で判断します。
OJTとは、適格な指導者の指導の下で、企業内の事業活動の中で行われる実務を通じた訓練です。
DX・新分野展開に向けて人材を育てたい場合
事業展開等リスキリング支援コースの3類型に当たるかを確認します。 令和8年8月3日以降に提出する計画届のDX化・GX化に関する訓練は、厚生労働省の例示では、生成AIで商品提案書の構成案作成などを学ぶ営業担当者向けの訓練は助成対象、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は助成対象外です。このコースには、令和8年度末までの期限があります。
有期契約社員の正社員化や45歳以上の実習訓練を進めたい場合
有期契約労働者等の正社員化を進めるなら、有期実習型訓練が当てはまります。訓練開始日に45歳以上の被保険者への実習なら、中高年齢者実習型訓練です。 どちらもOFF-JTにOJTを組み合わせます。
有期実習型訓練は、同一事業主・同一労働者に1回までです。中高年齢者実習型訓練では、総訓練時間に占めるOJTの割合を1割以上9割以下にします。
従業員が自発的に学ぶ環境や休暇制度を整えたい場合
労働協約や就業規則に定めた制度に基づき、従業員が事業主以外の主催する訓練を自発的に受けるなら、人への投資促進コースの自発的職業能力開発訓練や長期教育訓練休暇制度が当てはまります。 有給教育訓練休暇制度を導入するなら教育訓練休暇等付与コース、長期教育訓練休暇制度や教育訓練短時間勤務等制度を導入するなら人への投資促進コースです。建設事業主は、建設2コースも検討対象です。
出典:厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」(Ⅰ-2 チェックリスト付きフローチャート PDF4ページ目、Ⅱ-4 対象となるOFF-JT PDF32・33ページ目) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」(対象とならない訓練の例示) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)改正 中高年齢者実習型訓練を新設しました」(対象労働者・対象となる訓練)
■ 令和8年度の変更点と期限|期限の定めがある2コースと令和9年度の見通し(2026年10月時点)

確定している改正と期限、まだ決まっていない令和9年度の見通しを分けて見ていきます。
2026年に変わったこと|3月・4月・5月・8月の改正
令和8年3月2日に、事業展開等リスキリング支援コースへ人事・人材育成計画に基づく訓練を追加する改正が公表されました。4月8日には、中高年齢者実習型訓練の新設を含む4件の改正が公表されました。
4件は、人材育成支援コースの中高年齢者実習型訓練の新設、人への投資促進コースの長期教育訓練休暇制度への新規採用助成・職務代行助成(中小企業のみ)の追加、事業展開等リスキリング支援コースの設備投資加算の新設、コース共通の見直しです。コース共通の見直しでは、事業展開等リスキリング支援コースのeラーニング・通信制の1人1訓練あたりの上限が、中小企業30万円から15万円、大企業20万円から10万円に下がりました。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスによる訓練は、修了した訓練の標準学習時間が10時間以上の労働者だけが支給対象になりました。あわせて、申請事業主と密接な関係にある者との間の訓練経費が経費助成の対象外となり、教育訓練休暇制度は導入日から6か月を経過すれば、3年を待たずに支給申請できるようになりました。
8月3日以降に提出する計画届からは、事業展開等リスキリング支援コースの対象外訓練と受講回数が変わりました(経過措置あり)。5月の改正と不正受給の公表は、よくある質問で説明しています。
人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースの期限
人への投資促進コースは雇用保険法施行規則の附則第34条、事業展開等リスキリング支援コースは附則第35条により、令和8年度末(令和9年3月31日)までの措置です(2026年10月時点)。 令和9年4月以降にまたがる訓練の扱いは、管轄の労働局にご確認ください。
令和9年度の見通し|概算要求の段階で、決まっていない
厚生労働省の令和9年度概算要求(2026年8月公表)では、人材開発支援助成金を602億円(前年度当初539億円)で要求し、コース名を「訓練実施コース」と「休暇制度導入コース」とする表が示されています。これはあくまで概算要求で、確定するのは予算成立と支給要領の改正後です。
出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 人事・人材育成計画に基づく訓練も助成対象」(1ページ目) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)改正 中高年齢者実習型訓練を新設しました」(1ページ目、令和8年4月8日掲載) 出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」(「1.お知らせ」令和8年4月8日掲載の改正4件) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」(1枚目) 出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」(1枚目) 出典:e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」附則第34条第1項・第35条第1項(人材開発支援助成金に関する暫定措置) 出典:厚生労働省「令和9年度厚生労働省所管予算概算要求関係」人材開発統括官(拡充 人材開発支援助成金、PDF7ページ目)
■ 旧コース名で調べて迷ったとき|特定訓練・一般訓練・特別育成訓練はどうなったか

特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コースは、令和5年4月1日に人材育成支援コースへ統合されました。 統合前は、特定訓練コースと一般訓練コースが正規雇用労働者向け、特別育成訓練コースが有期契約労働者等向けでした。統合後は、有期実習型訓練を除き、雇用形態を問わず受講できます。
OFF-JTの最低訓練時間は、10時間以上に統一されました。現行の訓練メニューは、人材育成支援コースの4メニューです。
出典:厚生労働省 リーフレット「人材開発支援助成金を利用しやすくするため令和5年4月1日から制度の見直しを行いました」(1 訓練コース統合)
■ コースを選んだあとの申請の流れと注意点|訓練を始める前に手続きが必要

助成金の申請書類の作成と提出代行は、提携する社会保険労務士法人が行います。当社は、制度の選定や研修など取組内容の設計をご支援します。
事業展開等リスキリング支援コースの内容を案内しているのは、人材開発支援助成金のページです。
以下の手順と期限は、人材育成支援コースの案内にもとづきます。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースも、計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前まで、支給申請は原則として訓練終了日の翌日から2か月以内です。定額制訓練、休暇制度、建設2コースは、計画届の起点や期限が異なります。
手順1|申請前に確認する主な要件
主な要件の1つ目は、申請事業主が雇用保険適用事業所の事業主であることです。対象労働者は、その事業所の雇用保険被保険者に限られます。
さらに、職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知しておかなければなりません(有期実習型訓練を除く)。未実施の場合の期限は、計画届を提出する日までです。
人材育成訓練・認定実習併用職業訓練・中高年齢者実習型訓練では、定期的なキャリアコンサルティングの実施を、対象時期を明記して労働協約・就業規則・事業内職業能力開発計画のいずれかに定めておくことも要件です。また、どの訓練メニューでも、計画届提出日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、解雇等の事業主都合で被保険者を離職させていないことが必要です。
手順2|計画届を訓練開始前に提出する
職業訓練実施計画届の提出先は管轄の労働局で、期限は訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間です。 新たに雇い入れた労働者だけの訓練で雇入れ日から訓練開始日まで1か月以内の場合などは、訓練開始日の前日までに提出します。認定実習併用職業訓練は、訓練開始日の30日前までに実践型人材養成システム実施計画を出し、大臣の認定を受けます。
手順3|訓練後に支給申請をする
支給申請は、訓練終了日の翌日から2か月以内に行います(厳守)。 訓練終了日は、計画届の「訓練の実施期間」の最終日です。賃金要件等の割増分は、3か月継続して支払った日の翌日から5か月以内に別途申請します。計画届を出しても支給は確実ではなく、審査は支給申請後に一括して行う仕組みです。
電子申請を使う場合は、事前にGビズIDを申請して取得しておきます。
出典:厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内(令和8年8月3日版)」(Ⅰ-2 PDF4ページ目、Ⅱ-2 PDF27ページ目、Ⅱ-3 支給対象事業主等 PDF28ページ目、Ⅲ-1 PDF46・48ページ目、Ⅲ-5 PDF52ページ目) 出典:厚生労働省「令和8年度版 人への投資促進コースのご案内(令和8年8月3日版)」(助成金の支給の流れ、PDF9ページ目) 出典:厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内」詳細版(令和8年8月3日版)(Ⅰ-5 その他の留意事項、PDF11ページ目) 出典:厚生労働省「教育訓練休暇等付与コースのご案内」詳細版(令和8年8月3日版)(共通事項Ⅰ-12 計画届の提出、PDF20ページ目) 出典:厚生労働省「建設事業主等に対する助成金のご案内」令和8年度(建設労働者技能実習コース PDF34ページ目「計画届の提出」)
この制度の申請支援について、対応できる内容をまとめています。
■ HelpTech株式会社について
HelpTech株式会社は、認定経営革新等支援機関です。これまでの実績は、助成金支給率98%(2021年7月の創業以来〜2026年4月時点、支給決定件数÷支給申請件数)、累計の補助金採択額60億円以上(2021年7月の創業以来の累計、当社がご支援して採択された全補助金額の合計)です。
あわせて、業務のデジタル化を進めるDX支援やBPO(業務の外部委託)も提供しており、デジタル化・AI導入補助金を活用したITツールの導入についてもご相談いただけます。
■ まとめ:コースは訓練の目的で選び、人への投資促進と事業展開等リスキリング支援の2コースは令和8年度末まで
現行のコースは、研修、DX、正社員化や実習、休暇制度、建設事業主向けと、訓練の目的で選び分けます。 人への投資促進と事業展開等リスキリング支援の2コースは令和8年度末までで、令和9年度は概算要求の段階です。計画届は訓練開始前に出すので、まずは自社の訓練目的と対象者を整理してください。
自社がどの制度の対象になるかは、事業の状況によって変わります。HelpTechの無料相談で、対象可否の診断からご相談いただけます(電話:092-688-0878/平日 10:00-18:00)。
申請を検討されている方へ
この記事の執筆者

HelpTech株式会社 代表取締役
高橋 延明
中小企業の補助金・助成金申請支援と、リスキリングの研修事業を手がける。経産省のリスキリング補助事業の採択事業者。
よくある質問
併用の可否は、コースの組み合わせによって異なります。 併給できると明記されているのは、自発的職業能力開発訓練の経費助成と、長期教育訓練休暇制度の賃金助成や制度導入・実施助成との組み合わせです。業務命令型の訓練の助成は、制度導入・実施助成と同時に支給要件を満たすことがありません。同じ経費や賃金に他の助成金・補助金を申請すると併給調整がかかる場合があるため、管轄の労働局にご相談ください。
個人事業主の取扱いは、管轄の労働局にご確認ください。 対象労働者は、雇用保険の被保険者である必要があります。中小企業の判定方法では、資本金等を持たない事業主の例に「個人」が挙がっており、判断基準は労働者数です。
訓練経費が無料になったり、利益を得たりする使い方は制度上できない、と厚生労働省は説明しています。事業主が訓練費を全額負担することが必須要件で、返金、クーポン、サービスの提供などを受け取ると、全額負担していないとみなされて受給できません。
令和8年5月14日付けの支給要領改正で、提出が必要になった書類です(様式第28号)。 訓練計画届の提出時期を問わず、5月14日時点で支給申請が行われていないものと、申請済みで支給・不支給の決定がされていないものが対象です。対象コースは人材育成支援・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援の3コースで、経費助成を申請しない場合は提出不要です。申請済みで対象となる事業主には、管轄労働局から追加提出の案内が届く流れです。
不正受給をした事業主は、原則として事業主名が公表され、5年間は助成金を受けられません。 令和8年8月3日以降の支給申請からは特例が加わり、支給決定前であっても、不正の自主申告がなければ原則として公表されます。この特例では、支給決定取消等の額が100万円未満の場合と、事業主が不正受給に関与していないことが明らかな場合は除かれます。労働局の調査前に自主申告して速やかに返還した場合などは、原則として非公表です。