【イベントレポート】「資金調達を考えるスタートアップのための『ファイナンスミックス』活用術」を開催しました!

その資金調達、最適ですか? 多様な手段で成功への道を拓くセミナー開催!
2026年2月25日、HelpTechはFukuoka Growth Nextと共催で「資金調達を考えるスタートアップのための『ファイナンスミックス』活用術」を開催しました。
本記事にて、当日の様子をお届けします!
■ イベント開催の背景と概要
現在、スタートアップを取り巻く資金調達の環境は大きな転換期を迎えています。金融環境の変化に伴い、投資家がスタートアップを見る目はより厳しく、選別が進むようになりました。
その結果、シード期からシリーズAへと進むまでに、24ヶ月以上もの長い期間が必要になるケースが増加しています。
これまでのように「とりあえずVCから出資を受けて事業を伸ばす」という単一の手法だけでは、資金がショートするリスクが高まっています。また、エクイティだけに頼ると株式の希薄化(経営権の低下)が進みすぎ、いざという時の追加調達が難しくなってしまいます。
こうした背景から、福岡のスタートアップが厳しい環境を生き抜き、成長を止めないための戦略として、複数の資金調達手法を組み合わせる「ファイナンスミックス」を改めて学び直す場が必要とされ、本イベントが開催されました。
■ 登壇者情報
西川 文人(にしかわ ふみと) 日本政策金融公庫 国⺠⽣活事業 福岡スタートアップサポートプラザ 上席所⻑代理
2003 年に国⺠⽣活金融公庫(現 日本政策金融公庫 国⺠⽣活事業)に入庫。創業期から成⻑初期にあるスタートアップを中心に、融資に加え資金繰り支援サービス等を組み合わせたファイナンス支援に数多く携わる。2022 年に現職へ着任後は、創業者・スタートアップ向けの支援業務に従事するほか、高校⽣・大学⽣を対象とした起業教育やアントレプレナーシップ醸成にも関与している。
前川 寛洋 (まえかわ のぶひろ) Funds Startups株式会社代表取締役/Funds Venture Debt Fund代表パートナー
HRスタートアップで経営企画、国内事業推進の執行役員を務めた後、2020年にファンズに参画。取締役CFOを務める。国内外のVC、機関投資家、事業会社、金融機関等から総額80億円以上の資金調達を主導する他、資本政策、M&A、IPO準備等を幅広く管掌。 その他、自民党スタートアップ議連、新経連、全銀協等のスタートアップ関連の委員等や、日本最大のスタートアップカンファレンス”IVS”の企画責任者を歴任する等、官民の幅広い領域でスタートアップ市場に貢献。
高橋 延明(たかはし のぶあき) HelpTech株式会社代表取締役
学生起業で飲食・エステ・民泊・ホテルなどを運営。上場準備を進めるも、コロナ禍で計画が頓挫。その後、補助金・助成金を軸に資金調達と事業推進を支援するHelpTech株式会社を設立。事業計画の磨き込みから申請・実行まで伴走し、補助金による資金調達支援は累計100億円超、直近では単月31億円の採択実績を持つ。Fukuoka Growth Nextのスタートアップカフェでコンシェルジュを務めるほか、CIC FUKUOKAでも経営者の壁打ち・資金調達相談を広く担う。
モデレーター:若林 哲平 (わかばやし てっぺい) 株式会社INQ 代表取締役CEO
スタートアップの融資支援の株式会社INQ代表取締役CEO。VC・エンジェル投資家、起業家からスタートアップをご紹介頂き、融資による資金調達を累計1,300社・130億円超支援。東京都ASAC・NEXs TOKYOなどの自治体のアクセラレーションプログラムのメンターの他、複数のスタートアップの暫定CFO等を務める。
■ 資金調達の基本
冒頭若林氏は、資金調達の基本と題して、VCからの出資(エクイティ)や金融機関からの融資(デット)を上手く組み合わせる重要性について語りました。
その中で強調されたのがエクイティの資本コストは非常に高いという事実です。
銀行融資であれば、数%の金利がコストとして明確に見えます。一方、VCからの出資は返済義務がない代わりに、数年で会社を何倍にも成長させるという強力なプレッシャーが伴います。
目の前の事業の適切な成長スピード(例:着実に年10%成長させたい)と、投資家が求める急成長の期待値にズレがあると、後々経営方針を巡って苦しい状況に陥りかねません。だからこそ、「エクイティ」だけでなく「デット」なども組み合わせ、調達余力を残しながら成長資金を確保することが重要になります。

■ エクイティと組み合わせたい3つの資金調達
続いて、各登壇者を交えて具体的な資金調達方法を紹介しました。
①資本性ローン
西川氏は、日本金融政策公庫(以下、公庫)が展開する「資本性ローン」について次のようなメリットを語りました。
⭐︎期限一括返済: 毎月の元本返済がなく、10年後などに一括で返済するため手元に資金が残ります。
⭐︎ 業績連動金利: 赤字の期間は金利が極めて低く抑えられます。
⭐︎ みなし自己資本: 金融機関の査定上「借金ではなく自己資本」として扱われるため、他の銀行からも追加融資を受けやすくなります。
魅力的な調達手段ですが、審査ハードルが高いのも事実。西川氏はポイントとして「VCの関与」を挙げ、すでにVCからの出資や連携があることは、公庫が事業の信頼性を見極める上での大きな好材料になると述べました。

②補助金+つなぎ融資
返済不要の事業資金を獲得できる補助金ですが、原則として後払い(精算払い)である点に注意が必要です。数千万円単位の資金が先に出ていくため、場合によっては入金されるまでの2〜3年の期間を金融機関からの「つなぎ融資」で乗り切る必要があります。
高橋は、 補助金に採択されてから銀行に赴くのではなく、補助金を申請する前に金融機関へ相談しておくことの重要性を語りました。事前相談がないと、融資を断られて黒字倒産の危機に陥るケースが増えているためです。

③ ベンチャーデット
銀行融資とエクイティの中間に位置する、新しい資金調達の選択肢です。通常の銀行融資と比べると金利は高くなりますが、株式の希薄化を防ぎつつ、スタートアップ特有のリスクを取って数億円規模の成長資金を提供してくれます。
「あと半年資金があれば、もっと良い条件で次の出資を受けられる」といったブリッジの役割や、「今アクセルを踏めば大きく伸びるのに、キャッシュがないせいで成長を止めざるを得ない」という機会損失を防ぐために非常に有効であるとご紹介しました。

トークセッションの後は参加者が登壇者を取り囲み、Meetupが開催されました。「うちのフェーズだと何から動くべきか」「資金調達の相談はどこへ」といった質問が飛び交い、起業家同士や金融機関との交流があちこちで見られました。まさに今回のテーマである“ミックス(組み合わせ)”が人のつながりの形でも生まれ、会場全体が熱気に包まれていました。
■ イベントを終えて
本イベントは、参加者満足度5段階中4.5と大変ご好評をいただき、盛況のうちに幕を閉じました。また、予想を上回る多数の方にご来場いただき、本テーマへの関心の高さを再認識する一日となりました。
資金調達の手段が多様化した現在、自社に最適な手法を組み合わせる力が重要な鍵となります。
本レポートが、参加された皆さま、そしてこれから資金調達に向き合う皆さまにとって、自社に合ったファイナンスのあり方を考えるきっかけになれば幸いです。
■HelpTech株式会社 会社概要
代表者:高橋延明 設立:2021年7月14日 資本金:1,000,000円 所在地:福岡県福岡市中央区薬院1丁目6-14 ZZZ-21ビル 5F 事業内容: 組織構築コンサルティング e-ラーニングによるキャリア形成支援 補助金・助成金を活用した導入支援 ウェブサイト:https://helptech.jp
以上